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星 陽崇*; Wei, Y.*; 熊谷 幹郎*; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Recent Advances in Actinide Science, p.596 - 598, 2006/06
近年、硫黄や窒素といったソフトドナー配位子を有する抽出剤が、ランタニド(Ln)に比べ三価のマイナーアクチニド(MA=Am, Cm)に対して抽出選択性を示すことが見いだされた。Koralikらは新規の窒素ドナー配位子2,6-bis(5,6-dialkyl-1,2,4-triazinie-3-yl)-pyridine(R-BTP)がMA(III)に対して高い選択性を有することを報告している。しかしながら、R-BTPはプロトネーションにより酸性溶液中に溶解しやすいため、長鎖のアルキル基あるいは分岐分子鎖を導入することで酸性溶液中の安定性を改良した。本試験では新規のR-BTP含浸吸着剤を用いて、硝酸溶液中からのMA(III)とLn(III)の分離を検討した。分岐分子鎖を導入したR-BTP吸着剤は濃度4Mまでの硝酸溶液でAmに対して高い吸着性能を示し、分配係数は10を超えた。
星 陽崇*; Wei, Y.*; 熊谷 幹郎*; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Journal of Alloys and Compounds, 408-412, p.1274 - 1277, 2006/02
被引用回数:39 パーセンタイル:84.47(Chemistry, Physical)先進的湿式再処理プロセスの開発において、マイナーアクチニド(MA=Am, Cm)の分離は最も重要な課題の一つである。MAは長半減期の放射性元素であるため、核分裂生成物と分離する必要がある。しかしながら、その化学的類似性からMAとランタニド(Ln)の分離は非常に困難である。近年、SやN等のソフトな配位子を含む抽出剤がMA(III)に対して選択性を有することが見いだされた。KoralikらはN-ドナー配位子を持つ2,6-bis(5,6-dialkyl-1,2,4-triazine-3-yl)-pyridine(R-BTP)がMA(III)に対し高い選択性があることを報告している。しかし、相互に分離するには多段の分離手法が必要である。抽出クロマトグラフィーは少量の物質を処理する手段としては最も有望な分離技術の一つである。新規に粒径50のポーラスシリカにスチレン-ジビニルベンゼンポリマー添着した担体にR-BTP抽出剤を含浸させて吸着剤を調製した。本吸着剤は吸脱着速度が速く、また、膨潤しにくいため抽出クロマトグラフィーへの利用に適している。Ln(III)とトレーサー量のAm(III)を含む模擬高レベル廃液の分離を検討した。R-BTP吸着剤を充填したカラムにより、Am(III)とLn(III)は相互に分離された。Amに対して極めて高い除染係数(10)が得られ、全元素が定量的に回収された。
正木 信行; 中村 彰夫; 古内 史人*; 日夏 幸雄*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.312 - 317, 2005/02
被引用回数:10 パーセンタイル:42.74(Chemistry, Multidisciplinary)欠陥蛍石型構造とパイロクロア構造の関連を調べるために、パイロクロア組成(ABO)の固溶体2系統(a)Eu(CeZr)O(0x1.0)及び(b)LnEuZrO(Ln=La, Pr, Nd, Sm, Gd, Tb, Dy, Ho, Y, Er, Tm)を調製し、Euメスバウア分光,X線回折を行った。X線回折から、AサイトとBサイトの平均イオン半径比(r/r)が1.465以下のとき、つまり系(a)では0x0.85,系(b)ではLn=Tb-Tmのとき、欠陥蛍石型構造相(DF)が生成し、(r/r)が1.465以上のとき(系(a)では0.9x1,系(b)ではLn=La-Gd)、パイロクロア構造相(P)が生成することが示された。メスバウア分光から得られるEuの異性体シフトは、DF相領域において、両系ともにr/rの増加に従って減少し、DF-P相の境界(r/r1.465)で顕著に低下し、P相領域においてもr/rの増加に従って減少した。Euまわりの酸素配位の歪みを示す4極分子分裂の大きさもP相領域で明らかに増加した。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-003, 252 Pages, 2000/07
機構は、大学及び研究機関(以下「大学等」という。)との研究協力の推進を図るため、平成7年度から先行基礎工学研究協力制度を発足させた。同制度は、平成11年度で5年目を迎え、対象としている研究分野は機構の研究開発に係わるすべての分野に拡大している。同制度は、機構の施設及び設備を主に利用し、機構が取り組むプロジェクト開発に先行した基礎・基盤的研究を大学等との研究協力により推進することを目的とする。同制度では、機構が設定した研究協力テーマに対して、大学等から研究目的を達成する上で必要な研究協力課題及び研究協力者を提案して頂き、外部の専門家を中心とする選考委員会で研究協力課題を選考している。研究協力形態としては、大学等との共同研究の実施又は客員研究員として受け入れる形態を採用している。なお、共同研究又は客員研究員に大学院修士課程・博士課程の学生を研究生として加えることも可能としている。本報告書は、平成11年度に実施した高速増殖炉関係、核燃料サイクル関係及び環境技術関係の先行基礎工学研究に関する49件の研究協力課題の実施結果についてその概要をまとめたものである。なお、49件の研究協力課題のうち、高速増殖炉関係の12件、核燃料サイクル関係の1件及び環境技術関係の4件の合計17件については、平成11年度で終了した。
駒 義和; 小山 智造; 船坂 英之
JNC TN8400 99-021, 34 Pages, 1999/03
先進的核燃料リサイクルに係わる分離技術研究開発の一環として、三価のアクチニドとランタニドを分離する方法であるSETFICS法を開発している。これは、CMPO-TBP混合溶媒(TRUEX溶媒)とDTPA-塩析剤溶液を用いる溶媒抽出法である。本検討では、上記分離系での三価金属イオン(アクチニド及びランタニド)の挙動を理論的に説明することを目的とし、以下のような検討を行った。DTPAと金属の錯生成反応やCMPOによる金属の抽出反応に着目した。(1)DTPA溶液中での三価金属イオンの溶存状態水溶液中でのDTPAと金属Mの存在状態について、MDTPA2-及びMHDTPA-は錯体が形成されるモデルを検討した。DTPA-金属錯体の生成は高酸濃度で抑制されるが、pH1程度から顕著となる。pHが12程度の領域では、MDTPA2-にプロトンが付加してMHDTPA-が生成する反応が寄与する。このような錯体の生成は酸性溶液中では極めて低濃度で存在するDTPA5-イオンの濃度に大きく依存する。DTPA-金属錯体の安定度が非常に大きいため、DTPA5-イオン濃度が非常に小さくとも比較的高い酸濃度から錯形成は進行しうる。(2)CMPO溶媒/DTPA-塩析剤溶液中での三価金属イオンの分配比・上記の錯体の形成に加え、CMPOによる金属の抽出反応を考慮した。pH1以下の高酸濃度では、DTPA5-濃度が低いために金属はほとんど抽出される。このときの分配比の大きさはCMPOの抽出平衡定数に依存する。pHが上昇するに伴って分配比は減少するが、pHに対する分配比の傾きは実験値と一致した。(3)CMPO溶媒/DTPA-塩析剤溶液中での三価金属イオンの分離係数金属間の分離係数については、DTPAの錯形成とCMPOの分配比を用いるより簡単な表現も検討した。このモデルは、pH2以上においてCe以上のランタニド及びアクチニド元素について成り立ち、実験値と良く一致した。
渡邉 雅之; 森田 泰治; 久保田 益充*; 龍ヶ江 良三*
Radiochimica Acta, 87(3-4), p.115 - 119, 1999/00
炭酸ヒドラジンによる、ジ2-エチルヘキシルリン酸からの三価及び四価アクチニドの逆抽出挙動について調べた。その結果、三価及び四価アクチニドの逆抽出メカニズムを解明することができた。特に四価アクチニドについては、Pu(IV)とNp(IV)では逆抽出メカニズムは異なり、Np(IV)は逆抽出時にNp(V)に酸化されることがわかった。
福田 卓*; 長崎 晋也*; 颯田 秀雄*; 田中 知*; 鈴木 篤之*; 田中 忠夫; 村岡 進
Radiochimica Acta, 82, p.239 - 242, 1998/00
酸化還元に敏感なTRU核種の地層構造物質への吸着脱離挙動を調べるため、鉱物の主要な構成成分であるMnO,FeOOH及びAlOを対象として、酸化還元に敏感なTRU核種模擬元素:Ce(III)及び安定な元素:Nd(III),Eu(III)のバッチ法による吸着実験及び脱離実験をpH条件を変化させて実施した。吸着実験において、MnOに対するCeの吸着率は、Ce-FeOOH系、Ce-AlO系、Nd-MnO系及びEu-MnO系に比較して大きく、Ce(III)からMn(IV)への電子移動を伴うCeの酸化物反応が関与している可能性を示した。脱離実験の結果、一部のCeはMnO粒子と結合した形態で脱離する過程を含むことを見いだした。これらの結果をもとに、MnO界面におけるCeの吸着メカニズムと酸化還元のメカニズムについて検討した。
和田 幸男; 佛坂 裕泰*; 佐々木 聡; 冨安 博*
PNC TY8607 97-002, 158 Pages, 1997/05
本報告書は、平成4年から東京工業大学原子炉工学研究所の富安研究室と動燃事業団先端技術開発室とで継続的に進めている、光化学研究に関する平成8年度共同研究成果報告書である。本年度は昨年度に引き続き、アクチノイドおよびランタノイド元素の光化学分離および光励起量子効果利用に関する基礎研究を分担して行った。その結果、3M硝酸溶液中のPuおよびNpを光化学的に原子価調整し、TBP溶媒中に共抽出した後、選択的にNpだけを再び同じ3M硝酸溶液中に戻す、光化学逆抽出技術の原理実証に成功した。また、アクチノイドおよびランタニノイド元素の光化学的分離手段として可能性のある、これらの元素の大環状配位子錯体を用いた光励起一反応挙動実験を行った。その結果、多種類のLn3+を含む水溶液中の特定のLn3+錯体に固有な光吸収波長の光を照射することにより、そのLn3+を選択的に分離することが可能であると結論された。また、Cm3+の模擬物質として用いたEu3+に関する知見では、Eu3+と同程度の励起寿命と遥かに大きなモル吸光係数を持つCm3+に対しても適用可能であると推定された。
渡部 雅之; 小山 智造; 田中 康正; 駒 義和; 根本 慎一
PNC TN8410 97-120, 53 Pages, 1997/03
先進的核燃料リサイクルに係わる研究開発の一環として、三価のアクチニドとランタニド元素の分離技術の試験研究を進めている。CMPO-TBP混合溶媒/DTPA-塩析剤溶液系に基づく分離法(SETFICS法)について、温度と塩析剤に着目したコールド試験を行い、以下の結果を得た。(1)DTPA混合溶液系における分配比の温度依存性の把握分配比は温度上昇とともに低下する。この傾向は、主にCMPOによる抽出反応とDTPAの酸解離反応による。分離条件としては低温が有効である。(2)硝酸逆抽出液への硝酸ヒドロキシルアミンの適用性評価NaNO3と同様の分配比が得られる。硝酸逆抽出工程への適用は可能と考えられる。(3)種々の硝酸塩溶液による三価金属の相互分離への影響評価アルカリ土類金属溶液では分配比が低く、硝酸Al溶液では分離係数が低い。pH、硝酸イオン濃度、温度に対する依存性はNaNO3の場合と同様である。希土類元素の分配比は、硝酸塩の種類により次のような大小関係となる。一価陽イオン種KRbHANNaLi二価陽イオン種MgSrCa全体AlKRbHANMgNaLiSrCa理由としては、DTPA-金属の錯生成反応とCMPOによる抽出反応に関する塩析剤陽イオンとLn元素間での競合が考えられる。分離係数もわずかながら変化する。小さい陽イオン半径の硝酸塩溶液で分離係数が大きくなる。また、分離係数が大きい場合にこの傾向が顕著となる。
not registered
PNC TN1340 97-001, 154 Pages, 1997/03
高速炉安全解析コードSIMMER-IIIの開発の現状と成果運転安全管理のためのリビングPSAシステムの開発確率論的高速炉燃料設計手法の開発「もんじゅ」2次主冷却系温度計の高サイクル疲労破損の解析放射能検層におけるデータ処理と高品位鉱化帯対応シンチレーション光ファイバーを用いた高感度ガスモニタの開発環境試料中241Pu測定法の開発「常陽」における遠隔監視システムの開発研究報告溶媒抽出による三価アクチニドとランタニドの分離20%冷間加工P,Ti添加SUS316ステンレス鋼の中性子照射下での組織変化挙動評価イオン注入法によるクリプトン固定化技術の開発
巽 和行*
PNC TJ8603 97-003, 29 Pages, 1997/03
本研究は,拡張ヒュッケル法を用いてアクチニド錯体の化学状態を理論的に把握することを目的とする。核燃料リサイクルの基礎研究において,積極的に理論化学および計算化学の手法を導入する試みに挑戦することが重要で,原子力基盤技術としての理論計算化学を構築することが不可欠である。この観点に立ち,平成6年度はアクチニドおよび密接に関連したランタニドの拡張ヒュッケル用計算パラメーターの決定を行なった。引き続き平成7年度には代表的なアクチニド化合物の電子状態計算を行ない,結合の性質と反応性に関する理論解析に成功した。本年度はランタニド錯体を主にとりあげ,その電子状態を拡張ヒュッケル法で計算するとともに,関連アクチニド錯体の電子状態と比較した。さらにこの結果を利用して,溶液中に共存するランタニドイオンとウラニルイオンとの分離を試みた。分子軌道計算を行なったランタニド錯体はサマロセンとその誘導体で,ランタニドと種々の炭素供与型配位子および窒素分子との相互作用を調べた。その結果,Cp2Smが異常に屈曲した幾何構造をとる電子的原因が明らかになった。また,配位子との結合が主にランタニドの5d,6s,6p軌道によって形成されることを見いだした。結合に対するランタニド4f軌道の関与は対応するアクチニド5f軌道に比べてずっと小さい。さらに,サマリウムとアルキル配位子,アルカン,アルケン,アルキン,窒素分子などとの共有結合的相互作用は弱く,一般にランタニド配位子結合のイオン性がアクチニド錯体よりも高いことを示した。配位子とランタニドおよびアクチニドとのイオン結合性の違いを念頭において,溶液中に共存するランタニド(III)硝酸塩とウラニルイオン(2+)硝酸塩との分離実験を行なった。分離用多座N供与性配位子をデザインし,ビタミンB1から安価に合成できる新規ピリミジン環状6量体を合成した。この配位子を用いると,La(III)とウラニルが高効率に分離できることが明らかになった。Ce(III),Pr(III),Nd(III)でもウラニルと効率良く分離されるが,Gd(III)や重ランタニドでは分離能が悪くなる。
鈴木 篤之*; 長崎 晋也*
PNC TJ1602 97-001, 57 Pages, 1997/03
日本産出の分散モンモリロナイト微粒子へのAm3+ならびにランタニドイオン(Ln3+:Nd3+、Eu3+、Gd3+)の吸着特性を測定した。吸着比のNa+濃度依存性より、Na+とAm3+あるいはLn3+との吸着反応の化学両論関係は、イオン交換反応の理論と同様に1:3であることがわかった。また、吸着は水和自由エネルギーにより整理できることがわかった。Na+とCa2+による吸着反応への競争の影響を検討し、選択係数ならびにLangmuir型吸着等温線により議論した。Am(III)およびNp(V)の移行挙動をカラム実験により測定し、カオリナイトコロイド粒子との疑似コロイド形成による影響を検討した。カオリナイトコロイド粒子が移行可能な化学条件では、AmもNpもともにある割合の成分がトリチウム水の移行速度と同程度の速度で移行することがわかった。また、コロイドの吸着・脱着挙動は、ファンデルワールスポテンシャルと電気2重層ポテンシャルを考慮することで予測できる可能性が示された。
佐野 雄一; 青瀬 晋一*; 岡本 文敏; 狩野 純一*; 小山 智造; 田中 康正
PNC TN8410 96-362, 19 Pages, 1996/10
TRUEXプロセスにおいて使用される抽出剤CMPO(octyl(phenyl)-N,N-diisobutylCarbamoylMethylPhosphineOxide)及び相改質剤TBP(Triisobutylphosphate)と軽ランタニド元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu)との反応について、NMR(NuclearMagneticResonance;核磁気共鳴吸収)測定を用いて検討を行った。NMR測定の結果から、ランタニド(Ln)/CMPO/TBP系におけるLn錯体の構造について、系内のLn3+イオンに対するCMPOの濃度比により、以下に示すような変化をすることが確認された。Ln/CMPO/TBP系([CMPO]/[Ln](モル濃度比)3)硝酸イオン-Ln/TBP系と類似の配位様式CMPO,TBP-ともに配位(複数の配位様式)Ln/CMPO/TBP系([CMPO]/[Ln](モル濃度比)3)硝酸イオン-Ln/CMPO系と類似の配位様式CMPO,TBP-CMPOのみが2座配位(Ln/CMPO系と同様の配位様式)TBPは第一配位圏外に存在し、Ln-CMPO錯体のCMPO交換反応に寄与
駒 義和; 渡部 雅之; 野村 和則; 小山 智造; 岡本 文敏; 田中 康正
PNC TN8410 96-258, 46 Pages, 1996/09
CMPO-TBP混合溶媒を用いた三価アクチニド(An(3))/ランタニド(Ln)分離技術の開発の一環として、PUREX法に関する試験で発生した実廃液を用いた向流多段抽出試験を行った。抽出・洗浄・硝酸逆抽出、An(3)逆抽出及びLn逆抽出の4つの工程から成る基本フローシートに基づき実施した。本試験では、硝酸逆抽出工程へのHAN溶液の適用性、An(3)逆抽出工程での低濃度塩析剤溶液の使用によるAn(3)回収率の向上、低酸度の供給液を用いた際のFPの挙動を主に調べた。以下の事実が明らかとなった。比較的低い硝酸濃度(1.3M)の供給液を用いたが、Am、Cm及び希土類は99.8%以上抽出された。硝酸逆抽出液として0.4MHAN(pH2.0)を適用し、装荷溶媒からの硝酸のみを除去できることを確認した。また、硝酸逆抽出工程に洗浄部を設けることにより、非抽出金属の水相への損失を0. 1%未満とすることができた。An(3)製品には、AmとCmの他に一部のSm及びEu、ほとんどのYが同伴した。逆抽出液の溶媒に対する流量比(O/A比)を大きく設定したため、一部のAmがLn廃液に移行した。Ruは回収されなかった。洗浄溶媒中に硝酸が含まれていたが、明確な蓄積は認められなかった。Ln逆抽出工程では、溶媒中の三価金属が支障なく回収された。Ruは残留するため、アルカリ洗浄等の操作がさらに必要である。今後の課題としては、An(3)逆抽出工程の最適化、硝酸銀を含む廃液の処理・再利用が挙げられる。
井本 正介*; 若井田 育夫
JAERI-Data/Code 96-017, 62 Pages, 1996/03
本コードASPECTは原子またはイオンの電子レベルのエネルギー及び固有ベクトルを純粋に量子力学的な取り扱いによって計算するもので、レベル間の遷移やイオン化の確率を求め得るようにも拡張されている。ランタニドやアクチニドに見られるf電子を含む複雑な電子構造の場合にも適用可能である。本報告では、計算の基礎となる中間結合方式とその量子力学的取り扱いについて述べ、コードの構成について説明している。また、計算例を含む使用のためのマニュアルを付した。
渡部 雅之; 小沢 正基; 田中 康正
PNC TN8420 95-022, 228 Pages, 1995/10
これまでのAm(3)の調査に引き続き、今回は、酸化状態の異なる各種アクチニドの抽出特性について、環状ポリエーテル並びにそれらの同族体による抽出に重点をおいて調査を行った。調査の結果、クラウンエーテル類によるアクチニドの抽出特性について次の点が明らかとなった。1)Am(3)の抽出について、15C5/ニトロベンゼン/疎水性アニオン-pH2系で、DAm=440が得られた。水相硝酸濃度0.11Mでは一般にDAmは低い。塩析剤を加えるとDAmは大きくなる。2)UO22+の抽出では、0.1MCEs/CHCl3-7MHNO3系で、DUO2は1.62、5MHNO3で、12C415C518C624C8の順にDUO2は大きくなる。30%アセトニトリル/0.5MDCN18C6/トルエン-4MHNO3系で、DUO2は7.12。0.1MDCH18C6/ジクロロエタン-4MHCL系で、DUO2は100。3)Pu(4)の抽出では、20%プロピレンカーボネート/0.2MDCH18C6/トルエン-5MHNO3で、DPu(4)=24、添加剤なしでDPu(4)=12。有極性溶媒がDPu(4)を大きくする。4)Th(4)の抽出では、0.1M18C6/クロロフォルム-0.04Mピクリン酸系で、DTh(4)=10、0.1MDC24C8/1,2ジクロロエタン-4.8MHNO3系で、DTh(4)=7。5)Np(4)の抽出に関しては、0.01MDCH18C6/ジクロロエタン-5MHNO3+1MAINO3系で、DNp(4)=0.64、塩析剤の添加は、DNp(4)を大きくする。6)クラウンエーテル類はアクチニド及びランタニドの抽出剤として、強力な抽出剤ではない。高レベル廃液に適用する場合、クラウンエーテル類の化学的及び放射線損傷について、また、希釈剤のニトロ化生成物による、プロセスの化学的安定性について、詳細な研究が必要と思われる。さらにクラウンエーテル類でアメリシウムを抽出する場合、アメリシウムとマクロ成分であるウラン、プルトニウム及びランタニドとの競争抽出、マクロ成分のローディング効果についても十分な研究が必要であろう。
佐野 雄一; 青瀬 晋一; 岡本 文敏; 田中 康正
PNC TN8410 95-313, 28 Pages, 1995/10
TRUEX(transuranium extraction)プロセスにおいて使用される抽出剤CMPO(octyl(phenyl)‐N,N‐diisobutylcarbamoylmethylphosphine oxide)及び相改質剤TBP(tributylphosphate)と軽ランタニド元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu)との反応について、NMR(核磁気共鳴吸収)測定を用いて検討を行った。NMR測定の結果より、ランタニド/TBP系においては2分子のTBPが、ランタニド/CMPO系においては3分子のCMPOが、それぞれランタニドイオンに単座配位及び2座配位することが示された。また、ランタニド/CMPO/TBP系においては、CMPOのみが直接ランタニドイオンに2座配位し、TBPは第一配位圏には存在しないことが確認された。ランタニド/TBP系及びランタニド/CMPO系における配位子交換反応については、CBS(complete bandshape)法から求められた活性化パラメータの値から、会合機構あるいは第1配位圏外での溶媒などとの相互作用を伴う解離機構により配位子交換反応が進むものと推測された。一方、ランタニド/CMPO/TBP系におけるCMPOの交換反応は、第1配位圏外でのTBPによる影響を伴った反応で進行することが示唆された。
J.Rais*; 館盛 勝一
Sep. Sci. Technol., 29(10), p.1347 - 1365, 1994/00
被引用回数:45 パーセンタイル:89.74(Chemistry, Multidisciplinary)非常に疎水性の大きな抽出剤であるジカルボリド(CCDと略す)とハードなドナーあるいはソフトなドナーの組合せによる超プルトニウムとランタニド元素の相互分離抽出系を検討した。ハードなドナーとしてTOPOを選んでCCDとの混合系を調べたが、大きな分離係数は得られなかった。次にソフトドナーとして、TPTZとo-フェナントロリンについて調べたところ、前者については、やはり大きな分離係数は得られなかったが、後者については、例えば、0.1M HNO溶液からAm(III)のみを選択的に抽出する事ができ、Eu(III)との分離係数(D/D)として20~34という大きな値を得た。この結果は、例えば高レベル廃液の群分離において、超プルトニウム元素を有効に他のランタニド元素から分離回収する工程を確立する可能性を示している。
加藤 正人
PNC TN8410 90-079, 32 Pages, 1990/08
90K級の臨界温度を有するLnBa/SUB2/CuSUB3/O/SUB7-y(Ln:希土類及びY)は、Lnサイトに多くの希土類元素を置換できる。各Ln元素系の超電導体とUの置換体を合成し、各系の特性の変化とUの置換効果を調べた。LnBa/SUB2/Cu/SUB3/O/SUB7-yとLn/SUB0.8/U/SUB0.2/Ba/SUB2/Cu/SUB3/O/SUBy(Ln:La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y)を固相反応法で合成した。各試料の超電導性、構造に関する特性、及び酸素などの組成比を調べた。Ce,Pr,Tb,Luを除く系で超電導体で合成することができた。Ln元素が大きな系ほど、格子定数が大きくなり酸素が欠損しやすくなる。これまで、酸素欠損量が多い程、臨界温度が下がることが報告されているが、本研究においても欠損量が多い程、臨界温度が下がる傾向にある。U置換体は、いずれの系も第2相が現われたが、Gd,Eu,Sm,Nd系で第2相は減少し、Uの固溶量はEPMA分析よりLnサイトに3%である。このように、各系の超電導特性、結晶構造、組成比など諸特性が、Ln元素のイオン半径との間によい相関があることがわかった。これらの結果、Lnサイトに存在しうる元素は、+3価を安定にとり、そのイオン半径が1.0450.866Aである。また、Uは、Lnサイトへの固溶量が3%であり、そのイオン半径は0.930.96Aである。
吉田 博之
Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, 26, p.619 - 625, 1964/00
被引用回数:15抄録なし